四葉ノムコウ~SMAP編プロットその1
四葉ノムコウ~SMAP編
移動時間に妄想。文章に出来そうにないのでプロットだけ覚え書きとして。
リバーサイドに建つBAR【POLESTAR】
営業前の店内には四人の少年の姿が。
「すげー! すげーよ、マサヒロ!」
マサヒロの手元を見つめて目を輝かす少年シンゴ。
「シンゴはスゲーしか言わないよな」
クスクスと笑いながら優しい眼差しをシンゴに向けているのはツヨシ。
「シンゴは言葉のボキャブラリーを増やした方がいいと思うぞ。マンガばっかり読んでないでたまには本も読め」
お兄ちゃんぶって説教をたれているのはゴロウ。
「うるさいよ、ゴロウ!! ちょっと勉強が出来るからって偉そうに」
プーっと膨れるシンゴの頭をクシャリとかき混ぜて、マサヒロが「カカカッ……」と笑った。
「やってみるか?」
「いいの?」
差し出されたカードを恐る恐る受け取って、さっきまでマサヒロがやっていたみたいにカードを切る。
途端にバラバラとカードは宙を舞った。
「あーあ…全然カードが手についてないじゃない」
「下手くそだなー、シンゴは」
ゴロウとツヨシが囃し立てる。
「うーーっ」
「最初は誰だってそんなもんだ」
「ホント? マサヒロもそうだった?」
「ああ。シンゴは俺なんかより手先が器用だから。すぐに上達する」
「よおーし! 俺、頑張って覚える」
「どうする? ツヨシ。シンゴの方が先に凄腕の詐欺師になっちゃうかもよ?」
「ふーんだ! カードも切れないチビになんか負けないもんね」
「僕だって、ツヨシになんか負けないもん。いっぱい練習してマサヒロみたいに最高のいかさま師になるんだから」
「ばぁか! ツヨシもシンゴもいかさま師になんかさせねーよ!」
「何でだよ、マサヒロ!?」
「いかさま師も詐欺師もカッコよくなんかねぇ。人様から小銭を巻き上げてるコソ泥だ。サイテーの人間のくずだよ」
「……マサヒロも?」
「ああ、俺もだ」
「じゃあ、なんで詐欺なんかするのさ」
「ま、大人には大人の事情ってもんがあるんだよ」
「……年、そんなに違わないくせに!」
夜の盛り場。
身を寄せ会うツヨシとシンゴ。
ツヨシの母親が重い病に犯され治療費や入院費に莫大なお金が必要となり、ツヨシとシンゴはそのお金を稼ぐために覚えたてのカードを使って詐欺を企てる。
マサヒロとゴロウには内緒だ。
「大丈夫だよ、俺に任せとけって」
「でもさー、シンゴ」
「ツヨシのお母さんの為じゃん。頑張ろうよ」
「うん……」
「それに俺のカードさばきも様になって来たでしょ? マサヒロも上手くなったって言ってくれたし」
「うん、うん。ありがとう、シンゴ」
企ては上手くいっていた。
最後の勝負。
相手方のディーラーとして現れたのはマサヒロだった。
勝負中、シンゴのイカサマを暴き、ツヨシとシンゴは店の外に叩き出される。
「マサヒロ、なんで?」
「俺たち仲間だろ?」
「……才能もねぇ癖に、意気がってんじゃねぇぞ! た~こ!」
「だって……お前は手先が器用だからってマサヒロがっ! ツヨシのお母さんの事だってっ、」
「言ったろ? お前らと仲間ごっこやってんのに飽きたんだよ」
「そんな……」
「………っっ」
「じゃあな。二度と俺の前にその面出すんじゃねーぞ」
「…………マサヒロ」
ツヨシとシンゴに背を向けて歩き出したマサヒロがふと足を止め、振り返る。
「ああ、そうだシンゴ」
ポケットから取り出した小箱をポンと放り投げた。
「カード?」
「餞別だ。それでせいぜい腕磨いて、マジシャンにでもなるんだな」
あの別れから五年後。
とあるテレビ局の出演者控え室。
鏡に向かうシンゴの頬にペットボを押し当てるツヨシ。
「はい!」
「ありがと!」
「緊張してる?」
「別に、ゴールデンだってテレビはテレビだ。関係ない」
「嘘つき! 唇が渇いてるよ。それに、ポケットに入ってるのはなんだ?」
「これはっ……」
「マサヒロがくれたカード」
「ふんっ、別に。マサヒロが寄越したカードだから持ってんじゃないぞ。これが一番手に馴染んでるカードだってだけで」
「はいはい」
「ったく」
「とにかく、頑張ってこいよ」
「うん! いっぱい稼いでゴロウに恩返ししなくちゃな」
シンゴは最近人気のマジシャン。ツヨシはそんなシンゴのマネージャーをしていた。ゴールデンの人気番組にゲスト出演することになり、今日はその収録日だった。
スタジオの片隅、緊張した面持ちのシンゴは、ポケットの中のカードを無意識に握りしめる。
回想
少年時代の四人。
「四葉のエース?」
「そ、俺たちのカードだ」
「エースって最強のカードなんだよね」
「俺ら四人、最強だろ?」
シンゴが思い出したのはマサヒロの綺麗な笑顔。目を閉じたシンゴの肩をツヨシが優しく叩く。ツヨシの笑顔に頷き返しシンゴは真っ直ぐに顔を上げた。